デジタルツールの急速な進化、AI技術の革新、そして進むグローバル化。
現代社会の激しい変化の中で、子どもたちが直面する未来は予測が難しく、親として「何を教えてあげればよいのだろう?」と迷うことも多いと思います。
実は、子どもたちの好奇心と探究心を育み、内在する可能性を引き出すヒントが、STEM(ステム)教育やSTEAM(スティーム)教育にあります。
この記事では、STEM・STEAM教育について解説し、年齢に合わせた遊びやおもちゃを通じて、お子さんが楽しみながらSTEM・STEAM教育を学べる方法について紹介します。
STEM教育・STEAM教育って何?
STEM教育は、科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・数学(Mathematics)を横断的に学ぶ教育を意味します。
複雑な社会問題に対する「問題解決能力」や、物事の順序を組み立て考える「論理的思考力」を養うことを目的にしています。
- STEM教育:
- Science(科学)
- Technology(技術)
- Engineering(工学)
- Mathematics(数学)
STEAM教育は、STEM教育の理数的な視点に加えて、「Art(芸術)およびArts(教養)」すなわち感性や創造性の視点を取り入れた教育のことを指します。
- STEAM教育:
- Science(科学)
- Technology(技術)
- Engineering(工学)
- Art(芸術)/ Arts(教養)
- Mathematics(数学)
STEM教育・STEAM教育が注目されている理由
2009年に米国でオバマ元大統領がSTEM教育の重要性について演説を行ったことで、STEM教育に大きな注目が集まりました。
また、遅ればせながら日本でも文部科学省がSTEAM教育を推進しており、2020年から小学校でのプログラミング授業が必修化となりました。
STEM教育やSTEAM教育の推進の背景には、デジタル技術を活用し、複雑化した社会問題に対応する力が必須になっていることが挙げられます。
- STEM教育・STEAM教育=将来、社会に出て働く上で必須のスキル
- デジタル技術を活用した問題解決力(プログラミング、ロボット、AIなど)
- 複雑化した社会問題への対応(グローバル化、環境問題、少子高齢化など)
STEM教育・STEAM教育のポイント
STEM教育・STEAM教育と言えば、「プログラミングスキルを身につけること」と考える方も多いと思います。
実際、STEM教育・STEAM教育の「問題解決能力」や「論理的思考力」を身につける上で、プログラミングの学習はとても有効な手段です。
プログラミングを通じて、子どもたちが自分で何を作りたいかを考えて、試行錯誤を繰り返しながら作品を作るプロセスを学ぶことができます。
- STEM教育やSTEAM教育ではプログラミングスキルは重要
- 「自分で作りたいものを考える」「試行錯誤を繰り返して作品を作る」ことを学べる
お子さまの年齢別のSTEM教育・STEAM教育
ベビー(0歳〜1歳)
0歳の赤ちゃんは月齢によって発達が大きく変化します。
赤ちゃんにとっては見るものも聞くものも初めてのことばかり。
五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を意識して少しづつ世界を広げていくことが大切になります。
例えば、親が抱っこをして歌を聞かせてあげることも赤ちゃんにとっては大切な学び。
月齢が進むにつれて、色々なものに興味をもち、手をつかって触れるようになり、手にしたものをなんでも口に入れるようになります。
口に入れても安全な大きさや素材のもので、振って音の出るおもちゃや当たっても痛くないボールや積み木などがおすすめです。
幼児(1歳〜6歳)
だんだんと自我が芽生えはじめて「自分でやりたい」という意欲がでてくるようになります。
同時に「これはイヤ」という拒否の意思も出てきます。
年齢が進むにつれて、絵を描く、工作をする、パズルで遊ぶなど、色々なことができるようになります。
ものを見る、ものに触れる、ものを動かすといった五感を使った遊びの中で「どういう仕組みなんだろう?」「どうしてなんだろう?」という機会をたくさん作るのがおすすめです。
お子さんの「もっとやってみたい!」「もっと調べてみたい!」といった興味をひろげて、お子さん自身がもっている好奇心や探究心をサポートすることが大切になります。
小学校低学年(6歳〜8歳)
小学校低学年になると、簡単なプログラミングに触れて遊ぶことができるようになります。
- ブロックや音声といった指示で動かせる、アプリ不要のプログラミングロボット
- パソコン・スマホ・タブレットのアプリで指示ができるプログラミングロボット
ここで大切なのは、子どもの興味に合っているか、年齢に見合ったものかがひとつのポイントです。
難易度が高すぎると子どもは挫折してしまい、難易度が低すぎるとすぐに飽きてしまいます。
難易度が簡単なものから始めて、徐々にステップアップすることがおすすめです。
小学校中学年(8歳〜10歳)
小学校中学年になると、ビジュアルプログラミングを使ってプログラミングの基礎を学ぶことができます。
代表的なものは、「Scratch(スクラッチ)」というMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボで開発されたビジュアルプログラミング言語です。
「Scratch」を使うことで、オリジナルのストーリーを作ったり、ロボットを動かすことができるようになります。
パソコン・タブレット・スマホなど、インターネットを使った調べ物や発信を行う場合には、ITリテラシーについて親子で話し合う機会を設けることも大切です。
小学校高学年(10歳〜12歳)
小学校高学年になると、ビジュアルプログラミングを使って、複雑な作品を作れるようになります。
オリジナルのゲームの作成や、様々なセンサーを組み合わせたロボット操作など、自分だけのオリジナル作品を作り上げることができるでしょう。
中学生以上(12歳〜)
中学生以上であれば、ビジュアルプログラミング(Scratch)に加えて、テキストプログラミングができるロボットがおすすめです。
テキストプログラミングの代表例としてはPython(パイソン)があります。
PythonはAI開発やデータ分析で使われており、初心者からプロの開発者まで幅広く利用しています。
使いこなすには英語力もある程度必要になるためハードルは高いですが、実力をつければ将来プロのエンジニアとして働くことも可能になります。
STEM教育・STEAM教育の本質は「好きなことへの探求」
0歳でも幼児でも小学生でも中学生以上でもOK。STEM教育・STEAM教育は何歳からでも始めることができますが、
大切なのは、お子さんの好奇心や探究心を尊重することと、お子さん自身が自分のペースでじっくり取り組める環境を用意することです。
お子さんが興味をもったものに対する集中力や粘り強さこそ、STEM教育・STEAM教育の入り口になります。
自分で調べ始めて、自分で考えて、自分で工夫する「遊び」の中に、きっとたくさんの学びがあります。
お子さんの興味とペースに合わせて、STEM教育・STEAM教育に取り組んでいただければ幸いです。