毎年4月1日になるとエイプリルフールがやってきます。
この日は「相手を傷つけない嘘をついたりユーモアのあるいたずらを仕掛けてもOK」という慣習があります。
しかし、エイプリルフールがどのようにはじまったのか、そして世界中の国々ではこの日をどのように楽しんでいるのか、知らない方も多いと思います。
この記事では、エイプリルフールの由来や歴史、そして世界の人々の楽しみ方について紹介します。
エイプリルフールの由来と歴史
諸説あるエイプリルフールの起源
実は、エイプリルフールの起源には複数の説があり、明確には分かっていません。
代表的な説としては以下のものがあります。
インド起源説
インドの仏教徒には3月25日から3月31日までの7日間、煩悩を捨てるため厳しい修行に耐えるという習慣がありました。
しかし、修行を終えて4月1日になると再び俗世に戻り、煩悩が現れてしまいます。
そのような中で「揶揄節(やゆせつ)」という、悟りの境地から俗世に戻ってくるインド僧をからかう行事が生まれました。
その「揶揄節」がヨーロッパに伝わりエイプリルフールになったといいます。
イギリス起源説
イギリスでは、5月29日を「オークアップルデー」として1660年の王政復古をお祝いする記念日があります。
この日は国王に忠誠を誓う証として、午前中に帽子や服にオークの実を装飾するという習慣がありました。
この日の午前中にオークの実を身に付けなかった人をからかい、午後になるとからかったことを謝って許しあうルールが、エイプリルフールの起源になったといいます。
フランス起源説(嘘である可能性が高い)
インターネット上では「フランス起源説」というものが多くのWEBサイトで取り上げられています。
フランス起源説を要約すると「フランスの国王シャルル9世が新年を4月1日から1月1日に変更したが、民衆が国王に抵抗して4月1日を嘘の新年として祝い続けた」というものです。
この内容は2006年から2019年まで日本語版Wikipediaに掲載されていましたが、出典が無く、海外版のWikipediaにも記述が無く、フランス大使館もそのような事実は聞いたことがないようです。
ただ、フランス大使館によると、フランスでのエイプリルフールの起源として「国王シャルル9世が新年を1月1日に変更したが、そのことに気づかずに4月1日に新年を祝った人をからかった」という説は存在するそうです。
日本でどのように普及したか
元々、江戸時代から4月1日には「不義理の日」という風習がありました。これは日頃から連絡を取らず義理を欠いている相手に対し、手紙で挨拶して不義理を詫びる日でした。
大正時代になると、欧米から日本にエイプリルフールが伝わり、エイプリルフールの日本語訳である「四月馬鹿」という名称で広まりました。
不義理の日とエイプリルフール、2つの正反対な風習が置き換わってしまったのはとても面白いですね。
エイプリルフールの基本ルール
エイプリルフールは世界中の多くの国にあるイベントですが、共通するルールがあります。
それは「人を傷つける嘘をついてはいけない」「嘘を信じ込ませたままにしてはいけない」ということです。
エイプリルフールは本来「ユーモアのある嘘でみんなで笑い合う」というイベントです。
そのため、誰かを傷つける嘘はエイプリルフールの趣旨に反します。
また、嘘を信じ込ませたままにすることも、エイプリルフールの後のトラブルにつながります。
イギリスの「オークアップルデー」を踏まえて「嘘をつくのは午前中のみ」「午後には嘘であるネタばらしをする」というルールも世界中に普及しています。
エイプリルフールの嘘は「自分も相手も第三者も楽しいと思えるもの」にすることが何よりのポイントです。
世界の人々のエイプリルフールの楽しみ方
イギリス
イギリスのエイプリルフールはテレビ、新聞、ラジオとメディアが総動員で嘘をつきます。
1957年に英国放送協会BBCがニュース番組で「スパゲッティの木からスパゲッティを収穫する映像」と放送し、放送直後に「スパゲッティの木を育てたい」という問い合わせが殺到したそうです。
また、1980年に同じくBBCが「老朽化のためビッグベンのアナログ時計がデジタル時計になる。使わなくなる長針と短針はオークションに出品する」と放送しました。
大勢の人がひっかかった名作の嘘として、今でも語り継がれています。
フランス
フランスではエイプリルフールのことを「Poisson d’avril」(ポワッソンダヴリル=4月の魚)と呼びます。
この魚はサバを指しており、4月にはサバが大量に釣れるためこの名前になった説が有力です。
フランスの子どもたちは魚を描いた紙を他の人の背中にこっそりと貼り付けて、その人が背中の魚の紙に気づくとからかいます。
アメリカ
アメリカでは企業がエイプリルフールに絡めた大々的なPRを行うことで有名です。
2014年のエイプリルフールで、Googleが「Googleマップ上にポケモンが出現」というジョークを発表したことがきっかけで、2016年に「ポケモンGo」が誕生しました。
エイプリルフールは周りを笑顔にする嘘で楽しむ日
エイプリルフールは、ただ嘘をついてよいものではなく、周りの人々を傷つけずユーモアがある嘘を楽しむイベントです。
その背後には、様々な歴史や文化が存在し、世界中で異なる形で楽しまれています。
この記事が、エイプリルフールを大切な人と楽しむきっかけになれば嬉しく思います。